膵液について正しいのはどれか?国試頻出の落とし穴と完全攻略まとめ
膵液について正しいのはどれか?国試頻出の落とし穴と完全攻略まとめについての真相をお届けします。
インターネット上の受験対策ブログや質問サイトにおいて、初学者が誤解しやすい盲点がいくつか散見されます。正確な知識へのアップデートが必要です。
第1の誤解は、「胆汁にも脂肪を分解する酵素が含まれている」という思い込みです。胆汁は肝臓で生成され胆嚢で濃縮されて十二指腸へ排出されますが、胆汁中に消化酵素は一切含まれていません。胆汁酸の役割は、水に溶けない脂肪を細かな粒子にして水と混ざりやすくする「乳化(界面活性作用)」にとどまります。実際に脂肪のエステル結合を切断して脂肪酸とモノグリセリドに分解する作業は、膵液に含まれる膵リパーゼの単独任務です。国試で「胆汁中のリパーゼによって消化される」といった記述があれば即座に誤りと見抜いてください。
第2の盲点は、「膵アミラーゼと唾液アミラーゼの違い」です。両者はデンプンをマルトース(麦芽糖)やデキストリンなどの二糖類・オリゴ糖へと分解する同一の酵素(α-アミラーゼ)ですが、至適pHや作用の強さに差があります。唾液アミラーゼ(プチアリン)は咀嚼中の短い時間しか働けず、強酸性の胃内へ送り込まれると失活してしまいます。私たちが摂取した炭水化物の実質的な大部分を消化しているのは、十二指腸のアルカリ性環境下で存分に力を発揮する膵アミラーゼです。なお、アミラーゼはデンプンを二糖類までしか分解できず、最終的な単糖類(グルコース)への分解は小腸粘膜の微絨毛に存在する膜消化酵素(マルターゼなど)に委ねられます。「膵液でデンプンはグルコースまで完全に分解される」という肢も典型的な誤答トラップです。
第3の盲点は、迷走神経(副交感神経)と膵液分泌の関係です。膵液分泌の調節はセクレチンやCCKといった体液性(ホルモン性)調節が主役ですが、神経性調節も無視できません。食物を見たり匂いを嗅いだりする頭相、あるいは胃の伸展刺激によって副交感神経(迷走神経)が興奮すると、アセチルコリンを介して消化酵素に富む膵液の分泌が促進されます。「膵液分泌は神経による影響を一切受けない」という記述も誤りですので注意してください。