「かしこまりました」と「承知しました」の違いと相手別の正しい使い分け

「かしこまりました」と「承知しました」の違いと相手別の正しい使い分けにまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

ビジネス敬語を巡る議論で、ネットやSNS上で毎年のように論争が巻き起こるのが「了解しました・了解いたしました」の是非です。「了解は上から目線の言葉だから目上に使ってはいけない」というマナー説は、今やビジネス界の常識として浸透しています。しかし、その背景にある言語学的な事実と現場の実態には、いくつかの盲点が存在します。

文化庁が発行する『敬語の指針』をはじめとする公的資料を精査しても、「了解」という単語自体に相手を見下す意味合いは定義されていません。もともと「了解」は「事情を思いやって理解する、納得する」という中立的な漢語でした。ところが、2000年代後半に普及したビジネス指南本やネットマナー記事が契機となり、「了解は同等または目下が使う言葉であり、目上への敬意が欠けている」という俗説が急速に広まりました。

では、現代において「了解しました」を目上に使っても問題ないかと言えば、答えは明確に「避けるべき」です。言語学的な正誤とは関係なく、ビジネス社会において「了解しました=失礼」という認識を持つ管理職や取引先が多数派を占めている以上、あえてその言葉を選んでリスクを冒す合理的理由はありません。

さらに見落とされがちなのが、「了解いたしました」という表現です。「いたす」という謙譲語を補っているため文法的には丁寧な形になっていますが、受け手によっては「了解という単語そのものに抵抗感がある」と感じる層が依然として根強く存在します。無用な感情的摩擦を予防するためにも、目上や取引先に対しては「承知いたしました」か「かしこまりました」に一本化するのが最も賢明な防衛策です。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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