クイーン『地獄へ道づれ』の真相|全米制覇の裏にマイケルの助言
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日本の音楽ファンの間で長年議論を呼んできたのが、『地獄へ道づれ』という強烈な日本語タイトルです。英語の原題である「Another One Bites the Dust」を直訳すると、「もう一人が砂を噛む」となります。これは古くからの英語の慣用句(イディオム)で、「打ち倒される」「敗北する」、さらには西部劇などで敵が銃撃されて地面に突っ伏す様子から転じて「また一人くたばった」「もう一人死んだ」という意味のスラングです。
歌詞の内容を精読すると、オカルトやホラーの要素は一切なく、1930年代のシカゴ・ギャング抗争や「聖バレンタインデーの虐殺」を彷彿とさせる冷徹な犯罪劇が描かれています。
Steve walks warily down the street / With the brim pulled way down low
Ain't no sound but the sound of his feet / Machine guns ready to go
(スティーブは警戒しながら通りを歩く / 帽子のつばを深く目深にかぶり / 聞こえるのは自らの足音だけ / マシンガンの引き金はいつでも引ける)
では、なぜ日本では『地獄へ道づれ』という邦題が冠されたのでしょうか。当時のレコード配給元であった東芝EMIの洋楽ディレクター陣は、昭和歌謡や映画のキャッチコピー文化が全盛だった時代、英語の直訳では日本のレコード購買層にフックがかからないと判断しました。リズミカルで不穏なベースラインと、次々に標的が倒れていくハードボイルドな世界観を、当時の日本人の琴線に触れる劇的なフレーズへと意訳した結果が生み出したのが「地獄へ道づれ」という邦題でした。原題のドライな暴力性とは若干のニュアンスの違いがあるものの、そのインパクトの強さは半世紀近くを経た現在でも語り継がれる昭和洋楽カルチャーの傑作邦題の一つです。