ただの腰痛か癌のサインか?安静時の痛みと見逃せない危険な特徴
ただの腰痛か癌のサインか?安静時の痛みと見逃せない危険な特徴について見逃せない ポイントを厳選して解説いたします。
腰部に痛みを引き起こす悪性腫瘍には、原発性(内臓そのもののがんが周囲に影響を及ぼす)と転移性(他臓器の癌が脊椎に飛ぶ)の双方が存在します。主要な疾患ごとの病態機序を整理します。
1. すい臓癌(膵体部・膵尾部癌)
消化器癌の中でも特に発見が遅れやすいすい臓癌の腰痛症状は、解剖学的な位置関係に起因します。すい臓の後方には腹腔神経叢と呼ばれる神経の束が網の目のように走っており、膵体部や膵尾部に発生した腫瘍が浸潤すると、激しい背部痛や腰痛として知覚されます。特徴的な現象として「前かがみになって丸くなると痛みが和らぎ、仰向けになると激化する(膵性疼痛)」という特有の体位性変動が挙げられます。
2. 前立腺癌と脊椎骨転移
高齢男性における前立腺癌の腰痛と骨転移は、臨床上で極めて遭遇頻度の高い病態です。骨盤内の静脈叢(バットソン静脈叢)は椎骨静脈と直接連絡しているため、前立腺癌の細胞は腰椎や骨盤骨へ極めて転移しやすい特性を持ちます。前立腺癌の転移は骨を異常に硬化させる「造骨性転移」を呈することが多く、初期には頑固な腰痛として発症し、PSA(前立腺特異抗原)検査によって初めて原発巣が判明する事例が後を絶ちません。
3. 多発性骨髄腫
血液のがんの一種である多発性骨髄腫の腰痛症状は、造血組織である骨髄内で形質細胞が無制限に増殖することで引き起こされます。破骨細胞が異常活性化されるため、全身の骨がスカスカにもろくなり、初発症状の約70%が腰椎や胸椎の病的圧迫骨折に伴う腰背部痛です。「重い物を持ったわけでもないのに骨折した」「咳やくしゃみをしただけで激痛が走った」という経緯から発見されるケースが代表的です。
4. 大腸癌(直腸癌・下行結腸癌)
下部消化管に位置する大腸癌の腰痛や背中の痛みは、進行したがんが腸壁を突き破り、後腹膜や仙骨前面の自律神経叢に浸潤することで発生します。血便や便秘・下痢の繰り返しといった便通異常を伴いながら、下腹部痛とともに腰の深部に鉛が詰まったような重苦しい痛みが続くのが特徴です。