小柳ルミ子『わたしの城下町』が昭和を席巻した真相と現在の評価

小柳ルミ子『わたしの城下町』が昭和を席巻した真相と現在の評価の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。

昭和歌謡をめぐる言説の中で、しばしば「『わたしの城下町』は典型的なド演歌である」と誤認されるケースが見受けられます。しかし、これは音楽的構造を正確に捉えていない典型的な誤解です。

平尾昌晃が構築したバッキングトラックを丹念に紐解くと、アコースティックギターのストロークを軸にしたフォーク調のリズムセクションと、洗練されたストリングスアレンジが骨格を成しています。つまり、本作は純粋な演歌ではなく、当時台頭しつつあった「ニューフォーク」と「歌謡曲」のハイブリッド作品でした。

さらに、当時の社会情勢との連動も見逃せません。1970年に日本国有鉄道(国鉄)が開始した伝説的観光キャンペーン「ディスカバー・ジャパン(美しい日本と私)」と本作のリリース時期は完璧に重なり合っていました。都市化の波に疲れた若者やサラリーマンが、地方の古き良き町並みに癒やしを求める時代思潮と、本作の醸し出す旅情が見事な相乗効果を発揮したのです。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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