膝の水を抜くと癖になるは嘘?医師が明かす真相と再発ゼロの治療法
膝の水を抜くと癖になるは嘘?医師が明かす真相と再発ゼロの治療法に関する疑問を詳しくまとめました。詳細な解説をチェックしましょう。
中高年層を中心に広く信じられている「膝の水を抜くと癖になる」という説ですが、日本整形外科学会や関節外科の専門医は、この噂を明確な誤謬(ごびゅう)であると断言しています。
膝関節は「関節包」と呼ばれる袋で覆われており、内部は「滑液(かつえき)」という粘り気のある液体で満たされています。滑液は通常、健康な膝関節内にも2〜3ミリリットル程度存在し、軟骨への栄養供給や関節をスムーズに動かす潤滑油の役割を果たしています。しかし、何らかの理由で関節内に炎症が生じると、滑膜(かつまく)が刺激され、関節を守ろうとする生体防御反応として滑液が過剰に分泌されます。これが一般に「膝に水が溜まる(関節水腫)」と呼ばれる状態です。
「抜いてもまた溜まる」現象が発生するのは、注射で水を抜いたからではなく、水が溜まる引き金となった関節内の炎症や軟骨のすり減りが治っていないからです。火事に例えるなら、煙(水)を換気扇で外に出しても、火元(炎症)が燃え続けていれば再び煙が充満するのと同じ構図です。
過剰に溜まった関節液を放置すると、関節内圧が高まって激しい痛みや可動域制限を引き起こすだけでなく、関節液内に含まれる炎症性サイトカイン(関節を破壊する物質)が軟骨の分解をさらに促進してしまいます。そのため、適切なタイミングで医療機関において排液処置を行うことは、痛みの緩和と関節の保護において極めて合理的な医療行為です。