水前寺清子「ありがとうの歌」誕生秘話と視聴率56.3%の真実
水前寺清子「ありがとうの歌」誕生秘話と視聴率56.3%の真実の総合ガイドをお届けします。専門的な知識が詰まっています。
半世紀以上にわたって歌い継がれてきた名曲だからこそ、インターネット上やSNSでは事実と異なる誤解や都市伝説がしばしば散見されます。検証データと当時の証言に基づき、代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
第1の誤解は、「『ありがとうの歌』はドラマ以前から存在した演歌のヒット曲を、後から主題歌に流用した」という説です。ネットの掲示板や知恵袋などで時折見られる言説ですが、これは完全な事実誤認です。前述の通り、本曲は石井ふく子プロデューサーがドラマ『ありがとう』を立ち上げる企画段階で、水前寺清子さんの主演決定を受けてゼロから制作された完全なドラマ連動主題歌でした。ドラマのタイトル決定を受けて星野哲郎氏が作詞に取りかかっており、作品と楽曲は不可分の関係にあります。
第2の誤解は、「水前寺清子はコブシを効かせた純演歌歌手であり、『ありがとうの歌』も演歌に分類される」というステレオタイプです。音楽理論の観点から本曲を分析すると、関野幾生氏によるメロディラインは四七(ヨナ)抜き音階をベースにしつつも、軽快なシャッフル調のビートとポップス的なコード進行が採用されています。水前寺さん自身もこの曲では意識的に演歌特有のこぶしを極力抑え、澄んだストレートな発声で歌唱しています。ジャンルとしては「昭和歌謡ポップス」に属するハイブリッドな名曲であり、だからこそ演歌を聴かない若い世代にも自然と受け入れられたのです。