8月の季語と時候の挨拶決定版!なぜ猛暑が秋?立秋の真相と文例

8月の季語と時候の挨拶決定版!なぜ猛暑が秋?立秋の真相と文例の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

「40度近い猛暑日に、なぜ『初秋の候』と書かなければならないのか」という疑問は、毎年8月を迎えるたびにSNSやビジネスコミュニティで大きな議論を呼びます。この違和感を解消する鍵は、明治5(1872)年まで使われていた旧暦(太陰太陽暦)と、現在私たちが使っている新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)の時間軸のズレにあります。

旧暦において、1年は「1〜3月が春」「4〜6月が夏」「7〜9月が秋」「10〜12月が冬」と明確に区分されていました。当時の7月はおおむね現在の8月に該当します。さらに、古代中国で考案された二十四節気は太陽の黄道上の位置(視黄経)を基準に決められており、太陽が黄経135度に達する8月7日頃が「立秋」と定められました。つまり、俳句の歳時記や伝統的な手紙の作法は、今なおこの旧暦時代の季節区分を忠実に継承しているため、8月上旬にして「秋の始まり」を迎えるのです。

語源の観点からも、旧暦8月を指す「葉月(はづき)」の由来には興味深い事実があります。有力な説として、木々の葉が紅葉して落ちる季節を意味する「葉落ち月(はおちづき)」が転じたとする説や、北方から初めて雁が飛来する「初雁月(はつかりづき)」、あるいは稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」が変化したという説が国文学の研究で広く支持されています。当時の日本列島の人々は、体感温度よりも自然界の微細な変化——日足の短さや夜風の気配——に季節の推移を敏感に感じ取っていたことが窺えます。

ここで重要になるのが、「晩夏」と「初秋」の季語の違いです。立秋の前日までは、夏の最後の輝きを意味する「晩夏(ばんか)」に属し、立秋の当日からは秋の最初の時期を指す「初秋(しょしゅう)」へと分類が変わります。同じ8月であっても、境界線を跨ぐだけで文脈と用いるべき言葉が180度転換する点こそ、日本語の季節表現が持つ奥深い構造といえます。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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