昔のトイレの歴史と真実|昭和のぼっとん便所から江戸の循環社会まで

話題沸騰中の 昔のトイレの歴史と真実|昭和のぼっとん便所から江戸の循環社会までについて、詳しいまとめを整理して公開しています。

昭和40年代(1965〜1974年)頃まで、日本の一般住宅において主流だったのが、いわゆる「ぼっとん便所」と呼ばれる自然落下式の汲み取り式便所です。床に開けられた便器の穴の真下にコンクリート製または素焼きの便槽(タンク)が埋設されており、重力に従って排泄物がそのまま落下・蓄積する単純な構造でした。

当時の住宅設計では、悪臭が母屋に充満するのを防ぐため、便所は「北西の隅」や母屋から渡り廊下で結ばれた「離れ」に配置されるのが通例でした。照明も薄暗い白熱電球が1灯あるのみで、夜間のトイレ通いは子どもたちにとって恐怖そのものでした。当時の民俗調査や生活手記には、「底知れぬ暗闇から手が伸びてくるのではないかという恐怖に怯えながら用を足した」という証言が数多く記録されています。

また、この構造には極めて深刻な物理的リスクが存在していました。それが幼児や高齢者の「便槽への転落事故」です。当時の便器開口部は現在よりも広く、足を踏み外して数メートル下の便槽に落ちる事故が全国で散発的に発生していました。そのため、多くの家庭では穴を跨ぐための木製足場を組んだり、落下防止用の鉄格子やネットを取り付けたりする自衛策が取られていました。

臭気対策としては、便槽から屋根の上まで細い煙突状のパイプを伸ばし、先端に風力で回転するファンを取り付けた「臭気抜き(サンポット・排臭換気扇)」が昭和30年代後半から急速に普及しました。さらに、汲み取りの現場では定期的に手作業の「柄杓(ひしゃく)」と肥桶による回収が行われていましたが、1950年代半ば以降、「バキュームカー(真空吸引車)」の登場によって作業効率と衛生環境は劇的に改善へと向かいました。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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