映画『誰も知らない』実話の真相と結末|巣鴨事件とキャストの現在
映画『誰も知らない』実話の真相と結末|巣鴨事件とキャストの現在の全貌を丁寧に掘り下げてご紹介します。
映画の鑑賞者が最も強い疑問を抱く点の一つが、映画『誰も知らない』の元ネタとなった実話における母親のその後と、司法の裁きです。
捜査関係資料および当時の裁判記録によると、逮捕された実母(当時40歳)は、保護責任者遺棄致死罪に問われました。1988年10月の東京地裁判決において、母親に言い渡された量刑は懲役3年、執行猶予4年でした。実の子どもが2人死亡している凄惨な事態に対し、実刑ではなく執行猶予付きの判決が出たことは、当時の世論に大きな議論を巻き起こしました。
情状酌量の理由とされたのは、母親自身も孤立無援の境遇に置かれていた点です。父親たちが全員行方をくらまし、経済的にも困窮する中で、生活費の送金だけは途切れ途切れに続けていたこと、そして「母親一人にすべての刑事責任を負わせるには過酷すぎる家庭環境の破綻」が法廷で認められたためでした。
刑期満了後の母親は社会へ戻り、裁判の過程で引き取られた保護対象の長女・次女の親権を放棄したと報じられています。子どもたちは児童養護施設などを経て別々の家庭環境へと引き取られ、成人していきました。母親がなぜ子どもたちを置き去りにしたのかという動機について、公判では「新しい恋人と同棲生活を始めるため、子どもたちの存在が邪魔になった」と明かされています。しかしその根底には、親としての責任を全うできない自己愛的な未熟さと、社会的な制度から孤絶していた心理的孤立の連鎖がありました。