光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いとは?仕組み・倍率・限界を徹底比較

光学顕微鏡と電子顕微鏡の違いとは?仕組み・倍率・限界を徹底比較について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。

電子顕微鏡を導入・活用する際、必ず区別すべき二大潮流が「SEM(Scanning Electron Microscope)」と「TEM(Transmission Electron Microscope)」です。両者は同じ電子線を用いながら、得られる情報と観察メカニズムが大きく異なります。

走査型電子顕微鏡(SEM)の特徴は、細く絞った電子線を試料表面にスキャン(走査)させ、表面から跳ね返る二次電子などを検出して立体的・構造的な凹凸像を得る点にあります。昆虫の複眼や花粉の棘、破断面のマイクロクラックなどを臨場感たっぷりに可視化できます。特筆すべきは光学顕微鏡と電子顕微鏡の焦点深度の比較における圧倒的な深さです。光学顕微鏡では高倍率になるほど焦点が合う奥行きが極端に薄くなりますが、SEMは焦点深度が数十〜数百倍も深いため、起伏の激しい立体物全体にピントを合わせた鮮明な画像が得られます。

一方の透過型電子顕微鏡(TEM)の違いは、極薄にスライスした試料に高エネルギー電子線を文字通り「透過」させ、内部の散乱吸収の差を投影像として捉える仕組みにあります。立体感は得られずレントゲン写真のような2次元像になりますが、分解能はSEMを凌駕し、0.1nm以下の原子レベルに到達します。ミトコンドリアのクリステ構造やウイルスの内部コア、ナノ粒子の結晶欠陥など、内部微細構造を直接見通したい場合はTEMの独壇場です。その代わり、TEMの試料は電子を透過させるために厚さ100nm以下まで薄切する必要があり、高度な試料作製技術が要求されます。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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