扇状地と三角州の違いを完全網羅!見分け方と水害リスクの決定打

扇状地と三角州の違いを完全網羅!見分け方と水害リスクの決定打の総合ガイドをご紹介します。役立つ情報が詰まっています。

扇状地を真に理解するためには、ひとくくりにせず「3つのエリア」に分解して観察する必要があります。谷口から下流へ向かって、扇頂(せんちょう)・扇央(せんおう)・扇端(せんたん)と呼ばれ、それぞれ全く異なる表情を持っています。

まず最上流の扇頂は、谷の出口にあたる狭い区域です。山から吐き出された巨岩や大礫が集中しており、傾斜も急です。川の水はまだ地表を流れていることが多く、谷口集落と呼ばれる集落が発達してきました。

次に、扇状地の大部分を占める広大な斜面が扇央です。ここには砂利や粗い砂が深く堆積しています。小石だらけの地層は隙間だらけであるため、水はけが良すぎて川の水がすべて地中へと吸い込まれてしまう「伏流(ふくりゅう)」という現象が起きます。その結果、普段の川筋は水が干上がった「水無川(みずなしがわ)」となり、地表に水が残りません。そのため水を大量に必要とする稲作は不可能です。その代わり、乾燥を好み日当たりと水はけが求められるブドウ、モモ、リンゴなどの果樹園や、かつての養蚕業を支えた桑畑として活用されてきました。

そして扇状地の末端部分である扇端に到達すると、様子は一変します。扇央の地中深くを潜り抜けてきた地下水が、微細な粘土質の平野部にぶつかって押し出され、地下水湧水帯を形成するのです。こんこんと清水が湧き出る扇端には、古くから水を求めて人々が集まり「湧水集落」が成立。そこから先は水利が得られるため、豊かな水田地帯が広がります。

また、扇状地を語る上で欠かせないのが「天井川(てんじょうがわ)」の存在です。扇状地を流れる川は大量の土砂を運んでくるため、川底に土砂がどんどん堆積していきます。周辺の集落や農地を洪水から守るため、人間は川の両脇に堤防を築きます。しかし、土砂はさらに堆積し続けるため、そのたびに堤防をかさ上げし続けました。

この歴史的プロセスを何百年と繰り返した結果、川底が周囲の住宅の屋根や平地の地面よりも高い位置に持ち上がってしまった川が天井川です。滋賀県の草津川(現在は廃川となり公園化)などが有名ですが、天井川の道路トンネルの上を川が流れている光景は、扇状地ならではの堆積作用と人間の治水闘争が生んだ特異な景観と言えます。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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