マラソン2時間切りはなぜ非公認?キプチョゲの真相と公認への壁

マラソン2時間切りはなぜ非公認?キプチョゲの真相と公認への壁とはどんな影響があるのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。

2019年10月12日、オーストリア・ウィーンのプラーター公園。冷涼な気温、無風に近い湿度、木々に囲まれた直線主体の平坦なコースという、人類が長距離を最速で駆け抜けるために計算し尽くされた舞台が整えられました。イギリスの化学大手イネオスが巨額の資金を投じて立ち上げた「イネオス159 チャレンジ」です。号砲とともに走り出したエリウド・キプチョゲは、1時間59分40秒2という驚異のラップを刻み、フィニッシュラインへ飛び込みました。

当時、キプチョゲは記者会見や特番インタビューの場で「No Human is Limited(人間には限界がない)」と力強く語り、人類の可能性を信じる純粋なアスリートの魂を世界に見せつけました。しかし、現場を覆っていたのはロマンだけではありません。徹底した流体力学のシミュレーションと生理学の粋を集めた、巨大な「走る実験室」だったのです。

プラーター公園のコースは、直角コーナーを徹底的に排除し、標高差はわずか数メートル。走行ライン上には、前方を走る電気自動車から理想的なペースを示す緑色のレーザー光線が路面に照射され続けました。キプチョゲはその光の先端を正確になぞるだけで、エネルギーロスを1%単位で削減できる環境が完璧に構築されていたのです。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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