神様仏様稲尾様と呼ばれた男|シーズン42勝と鉄腕の真実を徹底解剖
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昭和の大投手に対しては、「ただ頑丈で、気合いと根性だけで投げ抜いた」というステレオタイプな誤解が持たれがちです。しかし、実際の稲尾和久は極めて論理的でインテリジェンスに富んだ頭脳派投手でした。
プロ入り当初、打撃投手として先輩打者の癖やスイング軌道を徹底的に観察した経験が、後の投球術の土台となりました。試合中、打者の足の位置、バットの握り、視線の配り方から心理を読み取り、相手が待っている球の裏をかく配球を自ら組み立てていました。「ピンチの時ほど力むな、コースを突け」という名言にも表れている通り、力任せではなく脱力と精密なコマンドによって強打者を翻弄していたのが真の姿です。
根性論ではなく、徹底した観察眼とフォームの再現性、そして自己客観化能力があったからこそ、毎試合のように登板しながらも大崩れせず、通算防御率1.98という驚異的なアベレージを維持することができました。