女子高生コンクリート詰め殺人事件と犯人の実名報道|法と世論の全記録
女子高生コンクリート詰め殺人事件と犯人の実名報道|法と世論の全記録を徹底追究! 知っておきたい 重要ポイントを分かりやすく展開します。
この事件が日本の法曹界およびメディア史において特異な位置を占める大きな要因が、加害少年の「実名報道」にあります。事件が明るみに出た直後、全国紙やテレビ局は少年法第61条に則り、犯人を匿名(少年A、Bなど)で報道していました。
少年法第61条は「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と定めています。少年の健全な育成と社会復帰(立ち直り)の機会を守ることが、その立法の趣旨です。
しかし、遺体発見から間もない1989年4月13日発売の『週刊新潮』(4月20日号)が、この原則を真っ向から破りました。「野獣に人権はない」と題した記事において、犯行グループ4名の実名と顔写真を大々的に掲載したのです。同誌の編集部は掲載理由として「犯行の異常性・残虐性は人間の尊厳を著しく踏みにじるものであり、犯人が少年であることのみを理由に庇護することは社会通念上許されない」「これほどの凶悪事犯においては、加害者のプライバシーよりも市民の知る権利と治安上の警告が優先されるべきである」という趣旨の見解を打ち出しました。
この報道は法曹界に猛烈な反発を巻き起こしました。日本弁護士連合会(日弁連)や東京弁護士会は「少年法61条の精神を蹂躙する明白な法違反であり、更生の可能性を奪う」として厳重な抗議声明を発表。人権擁護委員会による警告処分が下される事態となりました。一方で、市民や読者世論からは「被害者の実名やプライバシーが連日大きく報じられる一方で、凶悪な加害者の身元が保護されるのは不公平極まりない」とする圧倒的な支持や賛同の声が編集部に寄せられ、法と国民感情の埋めがたい溝が白日の下に晒されました。