想い出の渚誕生の真相と現在!加瀬邦彦が遺した奇跡の60年
想い出の渚誕生の真相と現在!加瀬邦彦が遺した奇跡の60年にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。
日本中を席巻したグループサウンズのムーブメントにおいて、ひときわ爽快な風を吹き込んだのがザ・ワイルドワンズでした。そのデビューシングルであり、彼らの代名詞となった名曲『想い出の渚』の発売年は1966年11月5日。東芝音楽工業(現・ユニバーサルミュージック)から世に送り出されたこの楽曲の誕生には、映画『若大将』シリーズで一世を風靡していた加山雄三の存在が深く関わっています。
ザ・ワイルドワンズ結成前、加瀬邦彦は寺内タケシとブルージーンズのセカンド・ギタリストとして腕を磨いていましたが、自らの理想とする音楽を具現化するため脱退を決意します。その際、公私ともに親交の深かった加山雄三から「新しいバンドを作るなら、これを使えよ」と手渡されたのが、当時日本では極めて珍しかったギブソン社製の12弦アコースティックギター(Gibson B-25-12)でした。
12弦特有の複弦がもたらす豊潤なコーラス感と鈴を転がすような響きに魅了された加瀬は、愛車を走らせて神奈川県葉山の海へと向かいます。晩年の回想録や音楽特番のインタビューにおいて加瀬本人が語ったところによると、冬の気配が漂い始めた誰もいない砂浜に腰を下ろし、波の満ち引きに合わせて指を動かしていたわずか数十分の間に、あの有名なイントロと流麗なAメロがほぼ完成したといいます。寄せては返す波の音、水平線に沈む夕陽、そして手元の12弦ギターの響きが一体となって結実した、まさに天啓とも呼べる作曲秘話です。
バンドの結成経緯もまた、この楽曲のポテンシャルを信じた加瀬の熱意から始まりました。加瀬は学生時代からの仲間であった鳥塚しげき、確かなドラムテクニックと甘いボーカルを持つ植田芳暁、卓越したベースラインを刻む島英二に声をかけ、4人編成でザ・ワイルドワンズを結成。彼らのデモテープを聴いた渡辺プロダクションの創業者・渡辺晋がその圧倒的なメロディセンスとカレッジフォーク的な清潔感を絶賛し、破格の待遇で即座にデビューが決定しました。