『ひとつ屋根の下』主題歌の真相|財津和夫「サボテンの花」の軌跡
『ひとつ屋根の下』主題歌の真相|財津和夫「サボテンの花」の軌跡を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。
脚本を担当した野島伸司氏と、プロデューサーの山田良明氏をはじめとする制作陣は、劇中音楽の選定において極めて明確な演出意図を持っていました。
当時のフジテレビ月9枠といえば、『東京ラブストーリー』(1991年)の小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」や、『101回目のプロポーズ』(1991年)のCHAGE and ASKA「SAY YES」など、ドラマのために書き下ろされたアップテンポまたはドラマチックな新作ポップスが主流でした。その潮流の中で、あえて1970年代の既成曲をセルフカバーさせて起用したのは異例中の異例です。
本作が描いたのは、両親を事故で亡くし、養子先や施設へと離散していた6人兄弟の過酷な運命でした。レイプ被害、障害、出生の秘密、重い病気など、野島脚本特有の重厚で時に過激な試練が次々と兄弟を襲います。制作関係者の証言によると、「重いテーマを扱うからこそ、ドラマの最後には救いと温もりが必要であり、『サボテンの花』の持つ無償の優しさとノスタルジーが不可欠だった」とされています。
江口洋介演じる達也が叫ぶ「そこに愛はあるのかい?」という泥臭くも純粋な情熱と、福山雅治演じる雅也の葛藤。それらすべてを包み込むエンディングの役割を、財津和夫の歌声が見事に果たしたのです。