尾道市立美術館の魅力と現在|猫と警備員の攻防から安藤建築まで徹底解剖
尾道市立美術館の魅力と現在|猫と警備員の攻防から安藤建築まで徹底解剖を徹底追究! 読者が気になる 情報と解説を分かりやすく展開します。
尾道市立美術館の真価を語る上で欠かせないもう一つの主役が、2003年にオープンした新館を手がけた建築家・安藤忠雄氏による空間設計です。同館は1980年に開館した本館(西村建築設計事務所)を改修しつつ、背後にガラスと打ち放しコンクリートで構成された新館を増築・連結したハイブリッド構造を採用しています。
安藤氏が掲げたテーマは「景観への埋没と調和」。瀬戸内海国立公園の景勝地である千光寺公園の自然を破壊しないよう、建物の高さを極力抑え、傾斜地に沿うように設計されました。外壁を覆う繊細なガラスルーバー(日よけ板)は、瀬戸内海の柔らかな光を幾何学的に拡散させ、美術館内部に時間帯ごとの光と影のドラマを創出します。
2階のロビーやテラスから望む尾道水道のパノラマは、まさに圧巻の一言。対岸の向島(むかいしま)を行き交う渡船の航跡、尾道の密集した家並みと坂道、そして遠く四国へと連なるしまなみ海道の島々が、幾何学的なコンクリートの開口部によって切り取られ、まるで一枚の巨大な額縁入り風景画のように眼前に広がります。美術品を鑑賞した後にこの絶景に身を委ねる導線設計は、建築と自然環境が奇跡的なバランスで融合した傑作と称賛される理由です。