絵本『こんとあき』が世代を超えて愛され続ける理由と感動の深層

絵本『こんとあき』が世代を超えて愛され続ける理由と感動の深層の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。

物語の骨格は極めてシンプルでありながら、スリリングなロードムービーの様相を呈しています。主人公のあきが生まれたとき、砂丘の町に住むおばあちゃんから送られてきたキツネのぬいぐるみ「こん」。あきの成長を見守り、遊び相手を務めてきたこんですが、ある日腕の縫い目がほころびてしまいます。こんは腕を直してもらうため、あきを連れておばあちゃんの家へと汽車に乗って旅立つ決意をします。

道中では、駅弁を買いに行ってドアに尻尾を挟まれるハプニングや、砂丘で大きな犬に連れ去られ砂に埋められる危機など、読者をハラハラさせる試練が連続します。満身創痍になりながらも「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と健気に言い続けるこん。そして、頼りなかったはずのあきが、傷ついたこんをおぶっておばあちゃんの家まで歩き通すクライマックスは、何度読んでも胸を打つハイライトです。

最終的におばあちゃんの手でお風呂に入れられ、綺麗に繕われたこんと、ほっと安心するあき。結末のネタバレも含めて知っていてもなお、再読するたびに安心と幸福感に包まれる構造こそ、本作が不朽の名作と呼ばれる最大の理由です。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest