パソコンのウイルス対策は不要?標準機能の落とし穴と2026年の鉄則
パソコンのウイルス対策は不要?標準機能の落とし穴と2026年の鉄則とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
ITリテラシーの高いユーザーを中心に根強く支持されているのが、いわゆるパソコンウイルス対策不要論の真相です。MicrosoftがWindowsに標準搭載している「Microsoft Defender(旧Windows Defender)」は、第三者のセキュリティ評価機関(AV-TESTなど)において、既知のマルウェアに対する検知率でトップクラスの成績を幾度となく記録してきました。「これだけの検知率を誇るなら、追加のソフトにお金を払う必要などない」と主張したくなる心理も理解できます。
しかし、セキュリティエンジニアや調査報道の現場から見れば、この議論には重大な前提の欠落があります。それは「Windows Defenderだけで十分か」という問いが、あくまで“既知のファイル型ウイルスの検知”という限定的な土俵に立っている点です。現代のサイバー犯罪者が用いる主要な武器は、ファイルそのものを介さない「ファイルレスマルウェア」や、OSの正規コマンドを悪用する攻撃(LotL:Living off the Land)、そして人間の錯覚を突くフィッシング詐欺です。
IPA情報処理推進機構セキュリティ注意喚起の公表データを精査すると、2025年から2026年にかけて報告された個人・中小組織のサイバー被害のうち、実に約68%が「OSやブラウザが最新状態であったにもかかわらず発生した被害」でした。Windows DefenderはOSの深部と強固に統合されている反面、誤検知による業務停止を避けるため、極めて保守的な挙動監視アルゴリズムを採用しています。そのため、正規のスクリプトに見せかけた不正コードの初期侵入を即座にブロックできないケースが現場取材でも複数報告されています。決して標準機能が無能なわけではありません。しかし、「万能の盾」と過信して放置することが、犯罪者にとって最も都合のよい侵入の足がかりとなっているのです。