天動説と地動説の違いとは?1400年の常識を覆した科学史の真相
天動説と地動説の違いとは?1400年の常識を覆した科学史の真相の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
天動説が中世ヨーロッパで長期間信じられていた理由は、キリスト教の盲信だけではありません。2世紀のエジプト・アレクサンドリアで活躍した天文学者クラウディオス・プトレマイオスが著書『アルマゲスト』で完成させたプトレマイオスの天動説モデルが、当時の観測予測において驚異的な精度を誇っていたからです。
夜空を観察すると、火星などの惑星は時折、通常の進行方向とは逆に進む「惑星の逆行運動」を見せます。これは天動説にとって最大の矛盾になり得ました。しかしプトレマイオスは、惑星は大きな円軌道(導円)の上を移動しながら、さらに小さな円(周転円)を描いて回っているという複雑な数学モデルを構築して見事に説明してみせました。
さらに公転スピードの不規則性を補正するため「エカント」と呼ばれる架空の計算点を導入。この精巧な幾何学パズルによって、当時の肉眼観測における日食や月食、惑星の位置予測はほぼ狂いなく的中しました。つまり、当時の天動説は「実用上完璧に機能していた最先端の科学」だったため、誰も疑う必要を感じなかったのです。