マリーナベイサンズの傾きは欠陥か?52度の構造と倒壊リスクの真相

マリーナベイサンズの傾きは欠陥か?52度の構造と倒壊リスクの真相について分かりやすく解説いたします。最新の情報をご覧ください。

マリーナベイ・サンズの建設プロジェクトが2000年代後半に立ち上がった際、その異次元の設計と「わずか27カ月」という極めて短い工期を理由に、国内外の多くの大手ゼネコンが受注を見送るか、巨額のリスクプレミアムを提示したと報じられています。その難局で名乗りを上げ、2007年に単独施工契約を勝ち取ったのが韓国の双竜建設でした。

傾斜角度52度という傾いた建物を建設する際、最大の難関となるのは「工事中の自重崩壊」です。建物が完成して23階で合体すれば互いの荷重を支え合いますが、建設途中の片持ち状態(キャンティレバー)では、傾いたタワーが重力によって外側へ倒れ込もうとする強烈な曲げモーメントが発生します。

この物理的課題をクリアするため、現場では以下のような最先端土木・建築技術が投入されました。

  • ポストテンション工法(Post-tensioning):
    壁の内部に高強度のPC鋼線を網の目のように通し、油圧ジャッキで超高張力をかけてコンクリートを締め上げる工法。これにより、外側に倒れようとする引張力を内向きの力で完全に相殺しました。
  • 仮設サポートトラス(ストラット):
    23階で合体するまでの間、傾斜タワーと垂直タワーの間に巨大な仮設鉄骨ブレース(突っ張り棒)を設置し、工事中の傾斜構造を物理的に支え続けました。
  • GPSおよびレーザーによるミリ単位のリアルタイム変形計測:
    コンクリート打設時のわずかな荷重変化や日照による熱膨張をリアルタイムで監視し、傾斜角を精密にコントロールしました。
  • 地下深部へのメガキャスティング杭:
    埋立地の軟弱地盤を貫通させ、地下数十メートルの強固な硬質岩盤層(オールド・アロビウム層)に直径数メートル級の巨大コンクリート杭を無数に打ち込み、不動の基礎を構築しました。

さらに、屋上に載る重量約7,000トン・長さ340メートルの空中庭園「サンズ・スカイパーク」は、風や地震、タワーごとの独立した揺れを吸収するため、3本のタワーと剛結合されていません。特殊な伸縮継手(エクスパンション・ジョイント)とベアリング支承で連結されており、タワーが個別に揺れても屋上プールや庭園が破断しない免震・制振思想が徹底されています。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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