避難訓練の「おはしもち」とは?最後の「ち」の意味と進化の真相を解説

避難訓練の「おはしもち」とは?最後の「ち」の意味と進化の真相を解説に関する基本知識を徹底的にまとめました。今すぐチェックことができます。

学校現場の避難訓練における標準標語として広く定着している「おはしもち」。まずは、構成する5つのアクションと、多くの大人が疑問を抱く「ち」の正体を正確に整理します。

各文字が指示する具体的な行動規範は以下の通りです。

  • 「お」:おさない(押さない)……避難経路や階段で前の人を押すと、連鎖的な転倒や群衆雪崩を引き起こし、圧死などの大事故につながります。
  • 「は」:はしらない(走らない)……校舎内や散乱物のある足元で走ると転倒のリスクが跳ね上がります。ただし屋外の安全圏へ向かう局面では例外が存在します。
  • 「し」:しゃべらない(喋らない)……教員や放送による避難指示、サイレンなどの重要情報を聞き逃さないための沈黙です。
  • 「も」:もどらない(戻らない)……「教科書を忘れた」「ペットが心配」と引き返し、煙に巻かれたり倒壊に巻き込まれたりする悲劇を断ち切る絶対原則です。
  • 「ち」:ちかづかない(近づかない)……避難の途上や避難完了後、危険箇所に近寄らないことを徹底する最新の安全規範です。

長年親しまれてきた合言葉に、なぜわざわざ5番目の文字として「ちかづかない(近づかない)」が付け加えられたのでしょうか。その背景には、過去の大規模災害において、避難中あるいは避難したはずの子どもたちが「二次災害」に巻き込まれて命を落とした痛ましい現場データがあります。

激震が収まった直後の街や校庭には、一見平穏に見えても致命的なトラップが無数に潜んでいます。ひび割れたブロック塀、亀裂が入った道路や擁壁、垂れ下がった高圧電線、割れ落ちそうなガラス窓、そして増水した河川や津波の押し寄せる海岸など、子どもの旺盛な好奇心や油断が向かいやすい場所ばかりです。2018年に発生した大阪北部地震において、小学校のブロック塀倒壊によって登校中の児童が尊い命を奪われた事故は、教育関係者や自治体の防災担当者に極めて重い衝撃を与えました。「危険な場所を認識し、自ら距離を置く」という自律的な危険回避能力を子どもたちに植え付けることこそが、現代の防災教育における至上命題となったのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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