動脈血と静脈血の決定的な違いとは?色の謎や肺動脈逆転の真相を解明
動脈血と静脈血の決定的な違いとは?色の謎や肺動脈逆転の真相を解明の真相について、最新情報を取りまとめてご紹介します。
病院や健診センターで血液検査を受ける際、針を刺されるのは決まって肘の内側や腕の静脈です。「体全体の健康状態を詳しく調べるなら、新鮮な動脈血を採った方が正確なのではないか」と疑問に思ったことはないでしょうか。
この疑問に対し、急性期医療の現場で働く看護師や臨床検査技師は「安全性と侵襲性の天と地ほどの差」を指摘します。医療機関関係者の証言や手記でも、一般的な検査において採血は静脈血で行う理由として、主に以下の4つの要因が挙げられます。
第一に「血管の深さとアプローチの容易さ」です。静脈は皮膚のすぐ浅い層を通っているものが多く、肉眼や指先の触診で位置を特定しやすい特徴があります。これに対し、動脈は体の奥深く、筋肉や骨、太い神経のすぐそばを走っています。これは生命維持に不可欠な太い配管を外傷から守るための進化の知恵ですが、針を刺す側にとっては極めて難易度が高くなります。
第二に「血管の内圧と止血の安全性」です。心臓のポンプ圧をダイレクトに受ける動脈の血圧は100mmHg前後に達します。もし動脈に太い針を刺すと、血液が拍動に合わせて噴水のように噴出するリスクがあり、抜針後も10分以上の強力な圧迫止血が必要となります。仮に止血が不十分だと皮下に巨大な血腫(血の塊)を作り、周囲の神経を圧迫して麻痺を引き起こしかねません。一方、静脈は内圧が5〜15mmHg程度と極めて低いため、針を刺してもジワリと滲み出る程度であり、数分間の軽い圧迫で安全に止血できます。
第三に「痛みの度合い」です。動脈の壁には豊富な神経終末が分布しており、すぐ隣には太い感覚神経が併走しているため、穿刺時に激痛を伴います。これに対し表在静脈は痛覚刺激が比較的少なく、患者の身体的負担を最小限に抑えられます。
「動脈採血(Aライン穿刺やガス分析用の動脈穿刺)」が行われるのは、重篤な肺炎、人工呼吸器管理中、心肺停止時、ショック状態など、一分一秒を争う呼吸・循環機能の把握が必須となる救急・ICUの場面に限定されます。肝機能、腎機能、コレステロール、血糖値、感染症マーカーといった一般的な血液検査項目であれば、静脈血でも全身の状態を十分正確に反映できるため、あえて危険を冒して動脈を穿刺する必要がまったくないのです。