誤嚥性肺炎の死亡率はなぜ高い?急変を招く理由と80・90代の余命
誤嚥性肺炎の死亡率はなぜ高い?急変を招く理由と80・90代の余命に関する疑問や疑問点を徹底的にまとめました。詳細を読もうことができます。
実際の医療現場におけるカルテ記録や、看取りを経験した家族の手記から浮かび上がるのは、「1度の退院で安心した矢先の容態急変」という過酷な現実です。急性期病院で強力な抗菌薬治療を受け、CRP(炎症反応)の数値が正常化して退院したとしても、それは肺の局所感染が一時的に鎮火したに過ぎません。
都内の地域中核病院で勤務するベテラン看護師は、現場の生々しい実態を次のように証言しています。
「誤嚥性肺炎で入院される80代後半の患者さんは、点滴と絶食の期間中に足腰の筋肉だけでなく、喉の筋力(舌骨上筋群)が目に見えて衰えます。退院カンファレンスで『これで治りました』とお伝えすることは決してできません。自宅や施設に戻られた後、約3人に1人は3か月以内に再び発熱して救急搬送されてきます。そして2度目、3度目と入院を繰り返すたびに、点滴のための血管は確保できなくなり、認知機能は低下し、徐々に会話が成立しなくなっていくのです」
病状が進行し、治癒を目的とした医療の限界に達した際、患者の身体には誤嚥性肺炎の末期症状が現れます。持続する微熱、喘鳴(ゼーゼーという痰の絡む呼吸音)、酸素投与を行っても改善しない末梢の冷感やチアノーゼ、そして覚醒時間の短縮です。最終段階では下顎呼吸(下あごを突き出すように呼吸する終末期の呼吸様式)が見られ、身体が自然な終焉へと向かうプロセスに入ります。この段階で無理な昇圧剤投与や大量の点滴を行うことは、かえって胸水や腹水、肺浮腫を助長し、患者に溺れるような呼吸苦を与えてしまう危険性を孕んでいます。