暴力団の現在と崩壊の真相|構成員激減の裏で起きる異変を追う
暴力団の現在と崩壊の真相|構成員激減の裏で起きる異変を追うにまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。
組織の先行きに絶望し、足を洗おうとする組員は後を絶ちません。しかし、暴力団から離脱した後の現実は極めて過酷です。
各都道府県の暴力追放運動推進センター(暴追センター)や警察による暴力団離脱者の現状と支援の枠組みは存在するものの、実際に社会復帰を果たし定着できる元組員は一握りにすぎません。前述の「元暴5年条項」が重い足枷となり、組を抜けてから最低5年間は一般市民としての経済活動が著しく制限されるためです。
取材に応じた元直系組員のA氏(50代)は、離脱後の苦境をこう吐露しています。
「組を抜けて真面目に働こうとしても、身元引受人がおらず、銀行口座が作れないから給与の振込先がない。アパートを借りようとすれば審査で落とされる。暴追センターの紹介で解体業に就労できたとしても、少しでも過去が知られれば周囲から白眼視される。結局、生活が立ち行かなくなって闇金や特殊詐欺の受け子のような日銭稼ぎに手を染め、刑務所へ逆戻りする仲間を何人も見てきた」
厚生労働省や法務省の調査でも、離脱者の就労継続率は極めて低く、社会的なセーフティネットの機能不全が浮き彫りになっています。社会が一度アウトローに落ちた者を二度と受け入れない排斥構造を作り上げた結果、彼らがトクリュウなどのさらなる地下犯罪市場へ流出するという皮肉な悪循環を生み出しています。
【プロの結論】犯罪社会学の視点から見出すべき「孤立の連鎖」への処方箋
暴力団の壊滅を目指す警察の強硬方針と法整備は、治安維持の観点から絶大な成果を収めました。しかし、社会学における「ラベリング理論」や「社会的包摂」の観点から見れば、現在のアプローチは重大な課題を抱えています。
構成員をただ社会から締め出し、不可視の領域へと追いやるだけでは、犯罪の総量を減らすことはできません。排除された人間は、より法秩序の届かない闇へと潜り、失うものがない「無敵の人」として凶悪犯罪に加担する傾向が強まります。暴力団を辞めた人間が健全な市民として自立できるよう、就労支援と段階的な身元確認インフラの再構築を両輪で進めなければ、トクリュウに代表される次世代型犯罪の温床を断ち切ることは不可能です。