クループ症候群の咳の音とは?夜間の「ケンケン」と救急受診の目安
クループ症候群の咳の音とは?夜間の「ケンケン」と救急受診の目安の重要なポイントについて、分かりやすい解説を詳しくお届けします。
クループ症候群を疑う最大の鑑別点は、耳にした瞬間に違和感を覚える「咳の音の異質さ」にあります。風邪でよく見られる「ゴホゴホ」とした湿性咳嗽や、「コンコン」という軽快な乾性咳嗽とは明らかに異なり、医療現場では犬の遠吠えのような咳(バーキング・コフ:Barking cough)や、オットセイのような咳、あるいは硬いものがぶつかるようなクループ症候群のケンケン咳と表現されます。
この異音が発生する理由は、空気の通り道である「声門下腔(声帯のすぐ下の部分)」の解剖学的構造にあります。乳幼児の気道は成人に比べて極めて細く、内径はわずか4〜5ミリ程度しかありません。ウイルス感染によってこの狭い粘膜に炎症と浮腫(むくみ)が生じると、気道の内径はさらに狭窄します。
狭くなった管を息が無理に通る際、気流が乱流を起こして声帯周辺を異常振動させます。これが金属的で乾いた咳の音や、息を吸い込むときに鳴る吸気性喘鳴のヒューヒュー音(ストライダー)を生み出す根本的な物理現象です。気道抵抗は半径の4乗に反比例するため、粘膜がわずか1ミリ浮腫を起こすだけで空気抵抗は16倍に跳ね上がり、子どもは急速に息苦しさを訴え始めます。