石原裕次郎『赤いハンカチ』半世紀越しの真相と名作が愛される理由

石原裕次郎『赤いハンカチ』半世紀越しの真相と名作が愛される理由にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

1964年1月に公開された日活映画『赤いハンカチ』は、単なる歌謡映画の枠に収まらない、重厚なハードボイルド・サスペンスとして完成しました。メガホンを取った日活映画 赤いハンカチ 監督の舛田利雄は、脚本の小川英、滝沢ふじおと共に、フィルム・ノワールの陰影を巧みに取り入れたプロットを構築しました。

物語の起点となるのは、横浜の埠頭で起きた麻薬組織摘発の夜です。刑事の三上二郎(石原裕次郎)は、同僚の石塚(二谷英明)とともに組織を追いつめますが、濃霧の中で発砲した銃弾が、容疑者の平岡を誤射・射殺してしまう悲劇に見舞われます。過失を悔いた三上は警察を辞職し、すべてを捨てて流浪の身となり、地方の砕石場で過酷な肉体労働に身をやつす日々を送ります。三上には愛を誓い合っていた平岡の娘・玲子(浅丘ルリ子)がいましたが、彼女の前からも姿を消しました。

それから3年の歳月が流れます。ある出来事を機に横浜へ戻った三上を待ち受けていたのは、あまりにも残酷な現実でした。かつての相棒・石塚は警察を退職して実業家へと成り上がり、あろうことか三上の最愛の女性であった玲子を妻に迎えていたのです。

真実を追う三上の捜査が進むにつれ、あの霧の夜の真相が暴かれていきます。平岡を死に至らしめた銃弾は、実は三上の銃からではなく、密輸組織と裏で結託していた石塚が放ったものでした。石塚は己の出世と欲望、そして玲子を手に入れるため、三上に誤射の濡れ衣を着せて放逐していたのです。

クライマックス、すべての罪業が白日の下に晒された石塚は破滅へと転落し、三上と玲子の間には埋めようのない歳月の溝が横たわります。去り行く列車のデッキ、あるいは港の桟橋で、三上が目にしたのはかつての約束の証である「赤いハンカチ」でした。しかし、過去は二度と戻らないことを知る二郎は、未練を断ち切るように再び孤独な旅立ち路へと向かいます。このほろ苦くも気高いラストシーンこそが、今なお名作と語り継がれる最大の要因です。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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