旧古河邸と大谷美術館の深き絆|洋館見学の予約と歴史の真相
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旧古河邸の建築的価値を語る上で欠かせないのが、設計を手がけたイギリス人建築家ジョサイア・コンドル(1852–1920)の存在です。鹿鳴館やニコライ堂、旧岩崎邸庭園を手がけ、「日本近代建築の父」と称されるコンドル博士が、その生涯の最晩年に設計した集大成ともいえる作品がこの旧古河邸です。
外観は、イギリスのスコットランド貴族の城館を思わせるクラシカルな重厚感が漂います。外壁には真鶴産の新小松石(安山岩)が野面積み風に用いられており、雨に濡れると深く落ち着いた黒褐色へと表情を変える計算が施されています。天然スレート葺きの屋根と石造りの壁面が織りなす荘厳な佇まいは、武蔵野の豊かな自然景観と見事な対比を成しています。
一方で、洋館の内部に足を踏み入れると、コンドル博士の類まれなる設計思想に驚かされます。1階は完全な西洋様式の社交空間として設計され、大食堂、応接室、ビリヤード室などが優雅な暖炉や木彫パネルで装飾されています。ところが、階段を上がった2階へ進むと、意匠は一変して本格的な数寄屋風の和室が広がります。
当時、日本人の富裕層にとって洋館はあくまで対外的な迎賓施設であり、日々の起居には和の空間が不可欠でした。コンドル博士は、外観の端正なシンメトリーを崩すことなく、2階の内装に畳敷きの和室、床の間、襖、障子を違和感なく収めるという極めて高度な和洋折衷を実現しました。この完璧な空間構成こそ、建築史家たちから「コンドル建築の最高峰」と絶賛される所以です。