サイのツノは骨じゃない?折れても伸びる驚異の構造とあえて切る理由

サイのツノは骨じゃない?折れても伸びる驚異の構造とあえて切る理由について徹底解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

「なぜ、単なるケラチンの塊がこれほどまでに高額で取引され、サイが虐殺されなければならないのか」。この問いに向き合うとき、避けて通れないのが漢方薬における「犀角(さいかく)」の歴史と、現代における迷信の歪曲です。

古代中国の伝統医学において、犀角は極度の高熱、痙攣、せん妄を鎮める「清熱解毒・涼血止血」の貴重視薬として処方されていました。しかし、香港中文大学をはじめとする複数の国際医学研究機関が実施した厳密な二重盲検試験により、犀角の粉末に特異な解熱作用はなく、市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)に遠く及ばないことが実証されています。ましてや、近年ベトナムや中国の富裕層の間でまことしやかに囁かれた「末期がんを治癒する」「二日酔いを瞬時に消し去る万能デトックス薬」「驚異的な精力剤」といった俗説は、近代医学的見地から100%否定された荒唐無稽なデマにすぎません。

それにもかかわらず、闇市場でサイの角の価格が高騰を続ける背景には、投機目的と強固な顕示欲が絡み合った経済心理があります。1977年にワシントン条約(CITES)附属書Iに掲載され、国際的な商業取引が完全禁止されたことで、皮肉にも「入手困難な究極のステータスシンボル」としてのプレミア価値が跳ね上がりました。国際的な密輸シンジケートは、意図的に供給制限の噂を流し、彫刻品、宝飾用ビーズ、あるいは富裕層のパーティーで振る舞われる酒の席での「特権的エリクサー」としてブランド化を進めたのです。グラム単価にして金を上回る巨額のマネーが動く構図こそが、サイを絶滅の淵へと追い込む最大の原動力となっています。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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