米津玄師の原点「ハチ」が放つ魔力!ボカロ史を変えた異端の美学
米津玄師の原点「ハチ」が放つ魔力!ボカロ史を変えた異端の美学に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。
2010年に発表された『マトリョシカ』は、ひとつの狂乱の頂点だった。初音ミクとGUMIの掛け合い、疾走するギターカッティング、言葉遊びの極致。ネット発の音楽が国境や言語の壁を越え、YouTubeをはじめとするグローバルな動画プラットフォームへと爆発的に拡散していく契機となった金字塔である。
しかし、物語は単なるサクセスストーリーでは終わらない。年月を経て、シーンが商業化の波に洗われ、ある種の停滞感を漂わせていた2017年、ハチは『砂の惑星』を突きつける。初音ミクの公式イベントのテーマ曲という祝祭の場に持ち込まれたのは、過疎化したシーンを痛烈にアイロニカルに描いた荒涼たるサウンドスケープだった。「何もない砂漠」と歌い放ち、後進たちに強烈なカウンターを浴びせたこの一曲は、コミュニティの内省を促し、新たな世代の起爆剤となったのである。