イタリアロープウェイ事故の真相|ブレーキ無効化の闇と少年の今

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この大惨事のなか、奇跡的に生き残ったのが当時5歳のイスラエル人男児、エイタン・ビルラン(Eitan Biran)君でした。同乗していた父アミットさん、母タルさん、2歳の弟トミ君、そして曽祖父母の家族5人を一度に亡くし、自身も多発外傷や骨折で意識不明の重体となりました。父親が落下直前に息子を全身で抱きしめ、衝撃を身代わりとなって吸収したことで助かったと伝えられています。

トリノの小児病院で集中治療を受け、奇跡的な回復を見せたエイタン君を待ち受けていたのは、悲痛な親族間の対立でした。イタリアに定住していた父方の叔母アヤさんが法的な後見人に指定されたものの、イスラエルに住む母方の祖父がこれに猛反発。2026年9月、祖父は面会交流中にエイタン君を車に乗せ、スイス経由のプライベートジェットで無断出国し、イスラエルへ連れ去るという国際的な未成年者連れ去り(拉致)事件を起こしました。

この事件は国際司法の場で争われ、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に基づき、テルアビブの家庭裁判所およびイスラエル最高裁判所は「少年の常居所地はイタリアにある」として、エイタン君をイタリアへ返還するよう命じました。祖父にはイタリア検察から国際逮捕状が出され、後に司法取引による有罪判決が下されています。

現在のエイタン君は、イタリア・パヴィア近郊で叔母の家族とともに暮らし、現地の学校へ元気に通っています。身体機能のリハビリは順調に進み、友達とサッカーを楽しむ姿も見られるようになりました。しかし、あまりにも過酷な体験によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)のケアは現在も専門医のサポートのもとで慎重に続けられており、静かな環境で心の傷を癒やす時間が守られています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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