映画『凶悪』元ネタの真相|上申書殺人事件と主犯「先生」の現在

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死刑囚の告発によって暴かれた一連の凶行において、最も社会を戦慄させたのが「先生」と呼ばれていた真の首謀者、三上静男(映画ではリリー・フランキー演じる木村孝雄のモデル)の存在です。

三上は表向き、水戸市内で不動産ブローカーや金貸しを営む温厚な初老の男でした。しかしその実態は、多重債務者や高齢者、アルコール依存症患者など、社会的に孤立した社会的弱者を言葉巧みに罠にかけ、生命保険金や不動産資産を冷酷にむしり取る冷血漢だったと当時の捜査関係者は述懐しています。自分自身は一切手を汚さず、暴力装置として暴力団組長である後藤死刑囚を心理的・金銭的に操り、殺人を「ビジネスの経費処理」のように請け負わせていたのです。

死刑囚の上申書に記されていた未解決の凶行は、以下の3件に及びます。

第一の事件は、1999年11月に発生した「石岡市高齢男性殺人事件」。三上は多重債務に苦しむ初老の男性を監禁し、後藤死刑囚の配下を使って極度の暴行を加えた末に死亡させ、遺体を山中に遺棄したとされます。しかし警察は当時、単なる行方不明事案として処理していました。

第二の事件は、2000年7月に起きた「北茨城市男性保険金殺人事件」。糖尿病を患っていた男性に執拗に酒を飲ませ、意識が朦朧とした隙に多量のインスリンを投与して低血糖ショック死させました。被害者には多額の生命保険が掛けられており、三上らは保険金数千万円を詐取。警察と検察の検視をすり抜け、一度は「病死」として片付けられていた戦慄の完全犯罪でした。

第三の事件は、2000年8月の「阿見町土地資産家男性殺人事件」。広大な山林を所有する資産家男性を絞殺し、遺体をドラム缶に入れて産業廃棄物焼却炉で骨片になるまで焼き尽くしたとされる事件です。男性の所有地は勝手に名義変更され、三上の手によって転売、巨額の売却益が山分けされていました。

いずれの事件も、警察の捜査網にすら引っかかっていなかった事実が、日本の刑事司法における「死因究明制度の甘さ」を浮き彫りにし、世論に強烈な不信感を抱かせる結果となりました。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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