トラウマインフォームドケアとは?支援が変わる4原則と現場のリアル
トラウマインフォームドケアとは?支援が変わる4原則と現場のリアルについて重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
対人支援の現場において、トラウマインフォームドケアとは単なる専門的な心理療法やカウンセリング技法を指す言葉ではない。組織や支援者が「あらゆる人が何らかのトラウマ的体験(逆境体験、虐待、暴力、喪失、病気など)を抱えている可能性がある」という前提に立ち、日々の関わりや環境設計そのものを見直す「組織文化のあり方」を指す。
従来の対人アプローチとTICの決定的な違いは、支援者が無意識に抱く「問いの方向性」にある。従来の指導・管理型モデルでは、パニックを起こす患者や不登校の生徒、攻撃的な利用者に対して「なぜ言うことを聞かないのか」「この人の何に問題があるのか(What is wrong with you?)」という評価的な視線が向けられがちだった。その結果、行動を力尽くで制止したり、ペナルティを与えて矯正しようとする関わりが生じる。
これに対し、TICが提示する問いは「この人の身に過去何が起こったのか(What happened to you?)」である。一見すると理不尽で破壊的に見える行動も、かつて脅威にさらされた過酷な環境を生き延びるために身につけた「適応反応(サバイバル戦略)」であると理解する。この劇的な視点転換こそが、支援者と被支援者の間に生じる不要な対立を解消し、硬直した支援の質を根本から刷新する原動力となっている。