愛犬の歯が折れる?犬用鹿の角の危険性と獣医師が警告する安全な選び方

愛犬の歯が折れる?犬用鹿の角の危険性と獣医師が警告する安全な選び方に関する疑問や疑問点を初心者にも親しみやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

「硬いものを噛めば歯が鍛えられる」という認識は、犬の解剖学的構造を無視した極めて危険な俗説です。小動物歯科を専門とする獣医師らの臨床データによると、硬質トイによる破折事故の主原因として、鹿の角が長年ワースト上位に挙げられています。犬の臼歯表面を覆うエナメル質の厚さは約0.1〜0.6ミリメートル程度しかなく、人間のエナメル質(約2〜3ミリメートル)と比較して約3分の1から5分の1という脆弱さです。硬度で言えば、鹿の角は人間の爪で傷がつかない骨密度を持ち、犬が体重をかけて垂直・斜めに噛み締めると、歯の耐久限界を瞬時に突破してしまいます。

特に被害が集中するのが、奥歯の中で最も大きく噛み砕く役割を担う「上顎第4前臼歯(じょうがくだいよんぜんきゅうし)」です。獲物を切り裂くために鋭利な形状をしているこの歯に対して、硬い鹿の角がテコの原理のように作用し、外側の平らな歯冠が貝殻のように剥がれ落ちるスラブ骨折(平板状破折)を引き起こします。

日本小動物歯科研究会に所属する獣医師は、取材に対して次のように現場の危機感を露わにしています。「鹿の角を噛んでパキッと音が鳴った段階で、すでに神経(歯髄)が露出しているケースが目立ちます。犬は痛みを隠す習性があるため、飼い主が気づいたときには歯髄炎から顔が腫れ上がり、全身麻酔下での抜歯手術や根管治療を余儀なくされるのが実情です」。

露髄(ろずい)を伴う破折が生じた場合、全身麻酔を伴う外科処置にかかる治療費は5万円から15万円前後に跳ね上がります。無添加でナチュラルというイメージが先行する鹿の角ですが、歯の構造的な強度を超えた負荷を与えるという決定的な危険性とデメリットが潜んでいる事実を直視しなければなりません。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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