小野賢章とハリポタの軌跡|12歳の抜擢理由と声変わりの裏側
小野賢章とハリポタの軌跡|12歳の抜擢理由と声変わりの裏側の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。
小野賢章にとって最大の試練となったのが、第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』から第4作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』にかけて訪れた「過酷な声変わり期」でした。海外作品の吹き替えにおいて、子役が声変わりを迎えると途中で大人の声優や別の若手に交代させられるケースは珍しくありません。
中学生から高校生へと差し掛かる時期、昨日まで無理なく出ていた高音域が突然出なくなり、かすれ声や裏返りが頻発するようになります。当時のアフレコ現場について小野賢章自身、特番や対談で次のような胸中を明かしています。
「毎回、次の作品の吹き替えに自分が呼ばれる保証はないという恐怖が常にあった。テスト収録で声が出ず、スタジオのブースで冷や汗を流した記憶は今でも鮮明に残っている」
この危機を救ったのは、音響監督をはじめとする制作陣の温かい配慮と技術的なフォローでした。声が出やすい午前中や体調の安定した時間帯を選んで収録スケジュールを組み、ダニエル・ラドクリフ自身の声変わりのテンポと小野賢章の声質の変化を緻密にすり合わせる作業が続けられました。さらに、ロン役の常盤祐貴、ハーマイオニー役の須藤祐実も同世代の子役として共に成長していたため、スタジオ内には戦友のような強い結束が生まれていたと記録されています。