定量的とは?定性的との決定的な違いや目標設定の具体例・活用術
定量的とは?定性的との決定的な違いや目標設定の具体例・活用術の真相について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
ネット上のビジネス論壇やSNSでは、「数字で語れない社員は不要」「すべての仕事は数値化できる」といった極論がしばしば拡散されます。しかし、社会心理学や組織行動論の視座から見ると、極端な定量至上主義には致命的な罠が潜んでいます。
その代表例が、英国の経済学者チャールズ・グッドハートが提唱した「グッドハートの法則(Goodhart's Law)」です。これは、「ある測定基準が目標そのものになった瞬間、それは良い測定基準ではなくなる」という観察事実を指します。
たとえば、「コールセンターの応答件数を定量目標(1日あたり60件以上)にする」と定めた途端、オペレーターは一件あたりの通話を早く切り上げることに腐心し、顧客の複雑な苦情を途中で遮ったり、たらい回しにしたりするインセンティブが働きます。表面的な処理件数(定量数値)は達成されても、本質である顧客満足度やブランドロイヤルティ(定性価値)は崩壊してしまうのです。
定量的評価と人事評価基準において現在起きている反省はまさにこの点にあります。数値目標ばかりを追求した結果、数字に表れにくい「後輩の育成」「社内ナレッジの整理」「トラブル時の自発的な泥臭い火消し」といった、組織の血液とも言える行動を誰も取らなくなるという事態です。定量目標はあくまで実態を照らす「計器」であって、走る目的そのものではないことを忘れてはなりません。