看板の「春夏冬」はなぜあきない?江戸の言葉遊びと二升五合の真相
看板の「春夏冬」はなぜあきない?江戸の言葉遊びと二升五合の真相に関する基本知識を徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。
居酒屋の店内や酒蔵の軒先を見渡すと、「春夏冬」単体だけでなく、「春夏冬 二升五合」というさらに長い文字列が記された木札を見かける機会があります。初見では計量単位の羅列にしか見えないこの組み合わせこそ、江戸の商人言葉が到達した言葉遊びの頂点です。
「二升五合」を読み解くロジックは、昔の升(ます)の計量基準に基づいています。一升の升が二つ並ぶと「一升(ます)+一升(ます)」で「升升」。これを「ますます(益々)」の音に重ねます。そして五合は一升のちょうど半分であるため「半升(はんじょう)」と呼び、これを「繁盛(はんじょう)」に掛けます。二つを連続させると「益々繁盛(ますますはんじょう)」という縁起の良い文句が立ち現れます。全体の構成要素を対比させた以下の構造をご覧ください。
「春夏冬」と「二升五合」が組み合わさることで、「商い益々繁盛(あきない ますますはんじょう)」という完全無欠の祝儀文句が完成します。さらに発展した形として、十升を表す「一斗」を冒頭に冠した「一斗二升五合」も存在します。一斗は五升の二倍であることから「五升倍(ごしょうばい)」、つまり「ご商売」と読ませるのです。文字の並びそのものが縁起物として機能し、商売仲間への開店祝いや新築祝いの木札として現代でも贈答される伝統が息づいています。