50歳早期退職はいくらで可能?独身・夫婦の必要資金と落とし穴
50歳早期退職はいくらで可能?独身・夫婦の必要資金と落とし穴とはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
退職後に一切働かない「完全リタイア」を目指す場合、50歳早期退職の必要資金シミュレーションは極めてシビアな現実を突きつけます。平均余命が男女ともに80代後半から90歳近くまで延びている今、50歳退職者は年金受給開始までの15年間を完全な無収入で乗り切り、さらに年金受給開始後も毎月の不足分を補填し続けなければなりません。
総務省統計局の「家計調査年報」を基準に、退職後の住居形態や生活水準ごとの試算を行うと、退職時に手元に残しておくべき純金融資産の目安が浮き彫りになります。
独身・一人暮らしの場合の必要資金
独身の50歳早期リタイア生活費目安は、持ち家(住宅ローン完済済み)であれば月額15万〜18万円、賃貸であれば家賃が上乗せされ月額20万〜25万円が基準です。年間生活費にして約200万〜280万円。年金受給までの15年間で約3,000万〜4,000万円を消費します。65歳以降の年金不足分(月5万〜8万円程度と想定)や突発的な医療・介護費、物価変動リスクを加味すると、50代FIRE達成に必要な貯蓄額は最低5,000万円、賃貸住まいの場合は6,500万円以上が現実的な分岐点となります。
夫婦二人暮らしの場合の必要資金
一方、夫婦二人暮らし早期退職の貯金額はどうでしょうか。総務省調査における高齢無職世帯の平均支出である月額26万〜30万円を想定すると、年間支出は約320万〜360万円に達します。年金支給が始まる65歳までの15年間だけで約5,000万円前後が純粋に生活費として消滅する計算です。さらに子どもの大学費用や独立資金、自宅の大規模修繕費用(外壁・屋根・水回りで300万〜500万円)を考慮すると、退職金を含めた総資産で8,000万〜1億円を保有していなければ、老後破綻のリスクを排除できません。
資金寿命を延ばすために多くの人が検討するのが、早期リタイア資産運用と取り崩し計算です。一般的に知られる「年間支出を資産の4%以内に抑えて取り崩すルール(4%ルール)」は、米国のような持続的な市場成長と一定のインフレ率を前提としています。円安や国内外の株価変動が激しい昨今、資産のすべてをリスク資産に投じていると、退職直後に大暴落が起きた際に元本が急激に毀損する「収益率の順序リスク」に直面します。最低でも向こう5年〜10年分の生活費はキャッシュ(円預金)や個人向け国債などの無リスク資産で確保するポートフォリオ管理が欠かせません。