追い抜きと追い越しの違いとは?知らぬ間の道交法違反を防ぐ境界線
追い抜きと追い越しの違いとは?知らぬ間の道交法違反を防ぐ境界線について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。
インターネット上の質問サイトやSNS上では、道路交通法を曲解した危険な俗説が氾濫しています。現場の警察官が取り締まり時に直面する「ドライバーの誤解」から、特に重大な3つの盲点を検証します。
誤解1:バイクのすり抜けは「追い抜き」だから全て合法?
朝夕の通勤ラッシュ時、停車中やノロノロ運転の車列の左側をすり抜けていく二輪車を頻繁に見かけます。この行為について、ライダー側は「車線変更をしていないから進路変更なしの追い抜きであり、完全な合法走行だ」と主張するケースが目立ちます。
しかし、実際のバイクすり抜け違反基準は単純ではありません。路側帯(白の実線で区切られた道路端)を通行して前へ出れば「通行区分違反(2点・反則金7,000円)」に該当します。また、赤信号で停止している車両の前に割り込んで停止線を越えれば「割り込み違反(1点・反則金6,000円)」や「信号無視」が成立します。車線を跨ぎながらジグザグに進路を変えつつ抜けていく行為は、進路変更禁止違反や安全運転義務違反の格好の標的となります。
誤解2:黄色実線は「追い越し」そのものを禁止している?
センターラインに引かれた黄色実線追越し禁止について、「黄色実線のある区間では、いかなる車両も追い越してはならない」と思い込んでいる人が少なくありません。しかし、標識令上の正式名称は「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」です。
禁止されているのは「道路の右側部分(センターライン)へはみ出して追い越すこと」であり、車道幅が十分に広く、センターラインをまったく踏み越えずに側方を通過して前へ出られるのであれば、法律違反には問われません。例えば、道端を極めて低速で走行する原動機付自転車や軽車両に対し、黄色実線を一切越えずに安全な間隔を保って追い越す行為は適法です。ただし、数センチでもタイヤが黄色実線に触れた瞬間に違反が成立するため、実務上は極めて慎重な判断が求められます。
誤解3:交差点内での前方進出はすべて違法?
道路交通法第30条では、追い越し禁止場所一覧として「交差点とその手前30メートル以内の場所」を明記しています。ただし、ここにも重要な法的位置づけが存在します。
第一に、道路交通法上の優先道路を通行している場合は、交差点内であっても追い越しが認められています。第二に、複数車線がある道路で、自分のレーンを維持したまま交差点に進入し、隣のレーンで信号待ちや減速をしている車を側方から通過して前へ出る行為は「追い抜き」に分類されます。交差点内追い抜きルール上、車線変更を伴わない同一車線直進による追い抜きであれば、交差点の追い越し禁止規定には抵触しません。