志村けん「変なおじさん」誕生秘話と元ネタ|踊り・だっふんだの真実
志村けん「変なおじさん」誕生秘話と元ネタ|踊り・だっふんだの真実にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。
伝説のキャラクター「変なおじさん」が初めてお茶の間に強烈なインパクトを与えたのは、1987年10月に放送を開始した『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)の放送枠内でした。しかし、その原型となるアイデアは、さらに以前の『8時だョ!全員集合』や『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の舞台裏、さらには志村さんの日常的な酒席での悪ふざけの中に息づいていました。
当時の制作関係者や番組スタッフの手記によると、志村さんはプライベートで訪れた地方の居酒屋や雀荘、街頭で見かける「少し挙動不審だがどこか憎めない中年男性」の生態を克明にノートにメモしていました。志村さん自身、自著『変なおじさん【完全版】』の中で、次のような創作の核心を明かしています。
「自分の中にいる恥ずかしい部分、隠したいスケベ心や情けなさを全部さらけ出すと、一番強い笑いになる」
コントの典型的なフォーマットは、石野陽子さんや松本典子さん、あるいはゲストの女性タレントが日常的なシチュエーション(寝室、更衣室、温泉、オフィスなど)でくつろいでいるところへ、奇妙な格好をした男が音もなく侵入して潜んでいるという設定から始まります。女性が気づいて悲鳴を上げ、発見役の男性(主に田代まさしさん)が駆けつけて「なんだチミは!」と詰問する。この張り詰めた緊張感のピークにおいて、あの決定的な名セリフが炸裂するのです。
「なんだチミはってか? そうです、私が変なおじさんです」
緊張を極限まで高めておいて、相手の問いかけをそのままオウム返しに受け入れ、自己申告で肯定してしまう脱力感。この「緊張の緩和」という古典的かつ至高の喜劇理論を、志村さんは一切の無駄を削ぎ落とした様式美へと昇華させました。