小泉八雲の妻・小泉セツの数奇な生涯|朝ドラ『ばけばけ』の原点

小泉八雲の妻・小泉セツの数奇な生涯|朝ドラ『ばけばけ』の原点に関する主要なデータを分かりやすく解説いたします。

八雲の代表作『怪談(Kwaidan)』に収められている「耳なし芳一」や「雪女」などの伝説は、八雲が一人で日本の古書を読み解いて執筆したわけではありません。その成立過程において、妻セツが果たした役割は決定的な共同制作者そのものでした。

八雲は生前、妻に「昔の珍しい話、幽霊や妖怪の話を聴かせてほしい」と毎晩のようにねだりました。セツは夫のために松江に伝わる民話を探し歩き、難解な古典文学や古文書を自ら読み下して、八雲が直感的にイメージを掴めるよう、情景描写や登場人物の心理を工夫しながら語り聞かせたのです。

セツの語り口には武家の娘らしい品格と出雲の豊かな伝承文化が息づいており、八雲はその抑揚や息遣いに耳を澄ませて創作のインスピレーションを得ていました。セツが語り部として咀嚼し、八雲が西洋の文学的技巧で再構成する――この二人三脚の営みがあったからこそ、ただの民俗資料にとどまらない、人間の孤独や美しさを宿した世界的名著が生まれました。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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