電車人身事故の賠償金は億単位?遺族の責任と相場・相続放棄の真相
電車人身事故の賠償金は億単位?遺族の責任と相場・相続放棄の真相に関する主要な事実を分かりやすくまとめました。最新データをご覧ください。
もし鉄道会社から正式な損害賠償請求の書面が届き、請求額が数百万円にのぼる場合、遺族側にはどのような防御手段が残されているのか。賠償金が払えない場合の対処法として、最も強力かつ確実な法的対抗策が「相続放棄」です。
故人の残した遺産(預貯金や不動産)よりも鉄道会社からの損害賠償債務の方が明らかに過大である場合、管轄の家庭裁判所に申し立てを行うことで、最初から相続人ではなかったものとみなされます。債務を一切引き継ぐ必要がなくなるため、鉄道会社からの請求を合法的に100%遮断することが可能です。
ただし、手続きには厳格なルールが存在します。絶対に守らなければならないのが相続放棄の手続きと期限です。民法第915条第1項により、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時(通常は死亡の事実を知った日)」から3ヶ月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
さらに警戒すべきは「法定単純承認(民法第921条)」の罠です。相続放棄を検討している最中に、故人の預金口座を解約して使ってしまったり、請求書を見て動揺した家族が「少しだけなら払います」と鉄道会社に一部を支払って示談書にサインしてしまうと、法的に「借金をすべて引き受ける意思を示した」とみなされ、後から相続放棄が受理されなくなる恐れがあります。
なお、当事者自身が生存しており、重い後遺症を負いながらも損害賠償請求を突きつけられた場合や、監督責任を問われた家族自身の債務として確定してしまった場合は、債務整理や自己破産を検討することになります。ここで焦点となるのが自己破産と免責不許可事由です。
破産法第252条第1項第6号、および破産法第253条第1項第2号(非免責債権)では、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責されないと定められています。自死を目的とした線路立ち入りがこの「悪意」に該当するか否かは法解釈が分かれる論点ですが、重度の鬱病や精神耗弱状態における突発的な行動であった場合は悪意性が否定され、免責が認められる余地が残されています。こうした判断は高度な司法判断を要するため、民法および破産法に精通した弁護士への即時相談が欠かせません。