消防署の地図記号はなぜ「さすまた」?警察との違いや覚え方を解説
消防署の地図記号はなぜ「さすまた」?警察との違いや覚え方を解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「さすまたは犯人逮捕の道具なのに、なぜ警察署ではなく消防署の記号になったのか? 国土地理院の間違いではないか」という疑問が定期的に投稿される。ここには2つの大きな歴史的盲点が存在する。
盲点1:さすまたの本来の歴史は「武具兼消火器具」
刺股の歴史を紐解くと、室町時代から江戸時代初期にかけては、突棒(つくぼう)・袖搦(そでがらみ)と並ぶ「三道具(みつどうぐ)」として、町奉行所の同心が罪人を取り押さえる武具として重用されていた。刺股消火道具歴史が本格化するのは、江戸の大火(明暦の大火など)を経て町火消組織「いろは四十八組」が編成されて以降のことだ。
町火消の刺股は、武具としての刺股よりも柄が太く頑丈に作られ、燃え盛る木材を引っかけたり押し破ったりできるように改良されていた。つまり、刺股は「治安維持の道具」と「消火の道具」という2つの顔を併せ持っていたのである。
盲点2:明治政府による「警察と消防の差別化」
明治時代初期、警察と消防は「内務省警視庁」の下で一体運用されていた。その後、明治13年に警視庁内に消防本部が設置され、組織としての機能分化が進む中で、警察官の携帯装備の象徴は西洋由来の「警棒」へと移行した。
明治期に地形図記号体系が策定された際、警察には日常携帯する「警棒の交差」が割り当てられ、消防には伝統的な消火器具である「刺股」が割り当てられた。警察が警棒を選定したからこそ、刺股が消防のシンボルとして純化されたという歴史的経緯がある。
訪日外国人対応と最新ピクトグラムの動向
国土地理院は2016年以降、インバウンド増加に対応するため「外国人向け地図記号」を別途策定している。従来のさすまた記号は外国人にとって意味が全く通じないため、外国人向け記号では「消防士のヘルメット」を図案化したピクトグラムが採用されている。日本の伝統記号と国際規格ピクトグラムの二重基準が存在することは、現代の地図リテラシーとして知っておくべき重要事項だ。