もじゃこの正体とは?ブリの稚魚の生態と養殖を支える海の秘密
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春から初夏にかけて太平洋や東シナ海の沿岸部で話題に上る「もじゃこ」とは、スズキ目アジ科に属するブリ(学名:Seriola quinqueradiata)の稚魚・幼魚を指す専門用語である。産卵場とされる東シナ海南部で孵化した仔魚は、海流に乗りながら成長し、体長がおよそ2cmから8cm程度に達した段階で独特の生態行動を見せる。
このユニークな名前の由来には諸説あるが、海洋生物学および水産現場で最も有力とされているのが「藻(も)に付く雑魚(じゃこ)」という言葉の転訛である。稚魚期のブリは、海上を漂う海藻の塊に寄り添って生活する習性があり、漁師たちが「藻付きの雑魚」と呼んでいた表現が縮まり、「もじゃこ」として定着したと伝えられている。地域によっては「モジャ」「藻雑魚」と漢字で表記されることもある。
成魚のブリといえば、背が青黒く腹側が銀白色に輝く紡錘形の堂々たる魚体を思い浮かべるが、もじゃこの外見はまったく異なる。黄色から褐色の体色に、縦方向に走る明瞭な暗色横帯(縞模様)を持ち、まるで熱帯魚のような愛らしい保護色で周囲の環境に溶け込んでいる。この縞模様は、後述する漂流海藻の中で外敵の目を欺くための進化の証であり、成長とともに消失して成魚特有の青白いツートンカラーへと変化していく。