なぜ茶道家は堀井七茗園を絶賛する?室町唯一の茶園が誇る本物の味と評判の真相

なぜ茶道家は堀井七茗園を絶賛する?室町唯一の茶園が誇る本物の味と評判の真相とはどのようなものなのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

日本茶の世界において、「宇治」の名を冠する銘柄は星の数ほど存在します。しかし、室町時代から連綿と続く宇治七名園の歴史に直接連なる茶園は、現在たったの一箇所しか残されていません。足利義満が茶の湯の発展を願って指定した七つの園――森神、祝井、宇文字、川下、朝日、琵琶、そして奥ノ山。明治から昭和にかけての急激な宅地開発や道路拡張によって6つの園が名所旧跡の碑文を残すのみとなるなか、唯一当時の区画と茶木を守り抜いたのが堀井七茗園の奥ノ山茶園でした。

現場を訪れると、市街地の喧騒から隔絶された緩やかな丘陵地に、整然とした茶畝が広がっているのが確認できます。ここで特筆すべきは、単に「古い茶園である」という骨董的な価値にとどまらない点です。堀井七茗園では、昔ながらの本簀(ほんず)と稲藁(わら)を用いた伝統的な「覆い下栽培」を厳格に維持し、茶葉に降り注ぐ日光を繊細に遮断しています。黒い化学繊維の遮光ネットが主流となった現在においても、天然の藁から滲み出る滋養と適度な通気性が、類まれな濃緑の葉と、覆い香(おおいか)と呼ばれる独特の芳醇な甘みを育て上げるのです。

さらに、同園の茶葉から選抜・育成され、農林水産省の品種登録を経て農林水産大臣賞を受賞した単一品種「成里乃」の誕生は、宇治茶業界に衝撃を与えました。ブレンド(合組=ごうぐみ)によって味を均一化することが常識とされてきた抹茶の世界において、自社茶園の卓越した単一品種だけで極上の旨味と香気を表現できるテロワール(生育環境)の存在を証明したからです。一流の茶道家たちが「堀井七茗園の抹茶には、他では代替できない土と歴史の深みがある」と口を揃える背景には、こうした本物の栽培哲学が存在しています。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest