中村嘉葎雄の現在と家族の系譜|萬屋錦之介との絆と名優の軌跡
中村嘉葎雄の現在と家族の系譜|萬屋錦之介との絆と名優の軌跡の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。
中村嘉葎雄の若い頃は、その端正な顔立ちと華麗な身のこなしから、錦之介とともに東映時代劇の若手スターとして絶大な人気を誇りました。1955年の映画『振袖狂女』で本格デビューを飾り、東映時代劇の黄金期には美剣士役や純真な青年役を数多く好演。ファンの黄色い声援を浴びるトップアイドル的存在でした。
しかし、彼の真の役者魂が発揮されたのは、時代劇の斜陽化と加齢に伴い、美男子の殻を自ら破り捨ててからです。その転換点となった伝説的役柄が、1977年に放映されたテレビ時代劇『新必殺仕置人』の巳代松(みよまつ)役でした。仕置人チームの頼れる仲間でありながら、怪力で竹鉄砲を操り、普段は飄々と鋳掛屋を営む巳代松。最終回近くで見せた、過酷な拷問によって精神を破壊され廃人となりながらも標的を撃ち抜く鬼気迫る演技は、今なおテレビ時代劇史上屈指の名場面として語り草になっています。
さらに映画界でその頂点を極めたのが、1983年公開の松本清張原作映画『天城越え』(野村芳太郎製作、三村晴彦監督)です。嘉葎雄は、田中裕子演じるハナの情夫であり、物語の不気味な底流を支える土木人夫・田島松之助(および成長した主人公の視点)を見事に体現。同年公開の『陽暉楼』『泪橋』での演技と合わせ、第7回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を堂々受賞しました。同年度のキネマ旬報助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞も総なめにし、名実ともに日本最高峰のバイプレイヤーとしてその名を歴史に刻みました。