漢字「馬」の象形文字と成り立ちの真相|甲骨文字から四本足の謎まで徹底解説
漢字「馬」の象形文字と成り立ちの真相|甲骨文字から四本足の謎まで徹底解説に関する深掘り記事を分かりやすく解説します。関心のある方は必見です。
東洋学の巨人であり、古代文字の成り立ちを宗教的・呪術的背景から鮮やかに解き明かした漢字学者・白川静(しらかわ・しずか)氏の研究によれば、古代中国社会における馬は、単なる荷役動物や移動手段をはるかに超えた存在でした。
白川学説において、馬は「神の意志を地上に媒介する神聖な動物」であり、国家の命運を握る「軍事力の象徴」でした。殷・周時代の遺跡(車馬坑)からは、豪奢な戦車とともに立ったまま、あるいは整然と埋葬された多数の馬の骨が出土しています。これは王が死後も冥界で軍勢を率いるための生贄(いけにえ)儀礼でした。
古代の甲骨文字や金文において、馬の象形文字がこれほどまでに力強く、威厳を持って描かれた理由は、当時の人々が馬に対して抱いていた畏怖の念にあります。「駿(すぐれた馬)」「駆(馬を走らせる)」「騰(天高く跳ね上がる)」など、馬を部首に持つ漢字群には、生命力の爆発や神速の運動を示す語彙が集中しています。文字の筆跡一つひとつに、神事と戦争が直結していた古代王朝の張り詰めた空気感が宿っているのです。