深海最重ダイオウホウズキイカの正体|ダイオウイカとの違いと最新発見
深海最重ダイオウホウズキイカの正体|ダイオウイカとの違いと最新発見に関する深掘り記事をまとめてご紹介します。関心のある方は必見です。
ダイオウホウズキイカが人類の前にその完全な姿を現した回数は、歴史上片手で数えるほどしかありません。その決定的な契機となったのが、2007年にロス海(南極海)で操業していたニュージーランドのメロ漁船「サヌ・アスパイア号」による捕獲劇です。
水深約1,800メートルから引き揚げられた延縄(はえなわ)にかかっていた深海魚ライギョダマシ(マジェランアイナメ)に、巨大な怪物が食らいついたまま海面に浮上。乗組員たちは2時間以上をかけて慎重にネットで保護し、船内で急速冷凍処理を施しました。この個体こそが、全長4.2メートル(縮んだ状態)、計量重量495kgを記録した世界最大・最重のメス成体でした。
翌2008年、ウェリントンのテ・パパ博物館で行われた公開解剖調査の様子は世界中にネット生中継され、数百万人規模の視聴者がそのグロテスクで神秘的な姿に息を呑みました。同博物館では現在も、特注のアクリル樹脂タンク内に特殊な化学溶液で満たされた完全体標本が厳重に永久保存されています。
極域調査船のROV(無人潜水機)や耐圧深海ドローンの探査機材が飛躍的に発展した現在、幼体や小型個体の生体遊泳映像が散発的に撮影され、世界的なニュースとして報じられています。しかし、成体の生きた姿を深海で捉えたクリアな映像は依然として極めて稀です。南極海特有の強風、流氷、猛烈な低水温が調査船の長期滞在を拒むため、その生態観察は地球上で最も困難なフィールドワークのひとつとして立ちはだかっています。