憲法97条はなぜ削除?自民党草案の真相と2026年の改憲論点
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憲法97条の削除がはらむ法的意味を精緻に捉えるため、関連する3つの条文の役割と、改憲草案における構造変化を比較データとして整理しました。
条文・章名現行憲法の内容と位置づけ自民党改憲草案での扱い専門家・編集部の構造的評価第11条
(第3章 国民の権利及び義務)国民が基本的人権の享有を妨げられないこと、永久の権利として与えられることを規定。文言を一部微修正(「享有を妨げられない」を「享有する」など)して存続。権利のカタログとしての性格を維持するが、「前国家的権利(生来の人権)」の色彩が抑制される。第97条
(第10章 最高法規)実質的最高法規性を宣言。人類の自由獲得の歴史的成果として、人権が国家に信託されたことを明記。条文ごと全面削除(第11条との統合・整理を名目とする)。近代立憲主義の思想的結晶が消滅。国家が憲法に従うべき根本理由の根拠規定が喪失する。第98条
(第10章 最高法規)形式的最高法規性を宣言。憲法に反する法律・命令・詔勅・処分を無効と定める。第102条へ条番号を変更しつつ存続。違憲無効の効力規定を維持。実質的根拠(97条)を失ったまま形式的効力(98条)のみが残るため、法実証主義的な統治規範へ偏向。
表から明らかなように、現行憲法において憲法97条と98条の関係性は車の両輪です。第98条が「憲法に反する法律は無効である」という形式的な効力序列(法形式的最高法規性)を定めているのに対し、第97条は「なぜ法律より憲法が偉いのか。それは人類が勝ち取った個人の尊厳・人権を守るための法だからだ」という存在理由(実質的最高法規性)を裏打ちしています。
97条を取り払い、98条の効力規定だけを残す設計は、形式的な法秩序の維持だけを尊び、国家が守るべき普遍的な自由の価値を軽視することにつながりかねません。ここが憲法学者らの最も危惧するコア論点です。